きっとまた、手をつなぎたくなる
写真を大切にしまっておくのは、もったいないと思っています。できれば、いつも手の届く本棚とか机の上に飾ってほしい。婚礼や成人式、入園入学などの記念写真だけじゃなくて、ちょっとした日常の写真も同じです。友だちに撮ってもらった自然体の姿だったり、公園で遊ぶお子さまを追っかけてみたり。もちろん、大好きだったあの子と初めて撮った二人っきりの写真も。僕、実は写真をあまり持っていないんです。幼い頃に両親が離婚したとか、少し登校拒否気味だったりとか、いろいろ理由はあるのですが、頭の中だけに残っている大切な思い出を撮り直すことは、これからの人生をかけてもできません。記憶はいつか淡く儚く薄れていきます。けれど、写真が手元にあれば、いつでも思い出すことができるんです。何十年後かに、皆さんが僕の撮影した写真をふと手に取って、大切な家族とページをめくっている。ちょっと恥ずかしいけど、ぎゅっと手をつなぎたくなって、そうっと手を伸ばしている・・・。そんな景色を思い浮かべながら、シャッターを押し続けます。
唯一の出会いに感謝して。
HA-CHI photo 須田 満成